伊良部島で5年間育てて分かったこと
「宮古島でコーヒーが育つんですか?」
お店で一番よくいただく質問のひとつです。
「コーヒーは南米やアフリカで作られるもの」というイメージが強いため、宮古島で栽培しているとお伝えすると、多くの方が驚かれます。
結論から言えば、宮古島でもコーヒーは育ちます。
しかし、それは「暖かいから簡単に育つ」という意味ではありません。
私たちは伊良部島で5年間コーヒーと向き合い、その難しさと可能性の両方を実感してきました。
コーヒーが育つ条件とは?
コーヒーは熱帯・亜熱帯地域で育つ植物です。
一般的には、
- 年間を通して暖かいこと
- 霜が降りないこと
- 十分な雨量があること
- 水はけの良い土壌
などが栽培に適しているとされています。
宮古島は冬でも暖かく、霜が降りることはほとんどありません。
この点だけを見ると、コーヒー栽培に適した環境と言えます。
宮古島ならではの難しさ
実際に栽培を始めて分かったのは、宮古島には他の産地にはない課題があるということです。
台風
毎年やってくる台風は、コーヒーの木にとって大きな試練です。
強風で枝が折れたり、実が落ちたりすることもあります。國仲商店は風除けのための防風林を育てました。
梅雨や干ばつ
梅雨の時期には農作業ができない状況で害虫が発生しやすく、干ばつが訪れると毎日潅水が必要となります。
国内ではコーヒーの登録農薬がほぼ存在しないため、オーガニックで育てることが主流となっており、特に病害虫対策に苦戦しております。
実の熟し方
宮古島では雨が降ったり止んだりを繰り返すため、同じ木でも実が熟すタイミングが揃いません。
そのため、一斉に収穫することができず赤く熟した実だけを何度も手摘みするという作業を約半年にわたり続ける必要があります。
だからこそ、一杯の価値がある
収穫はゴールではありません。
その後には、
- 精製
- 乾燥
- キュアリング
- 焙煎
という工程が待っています。
私たちも最初は分からないことばかりで、収穫したチェリーをどう処理すれば美味しくなるのか、何度も試行錯誤を繰り返しました。
収穫量が増えたことで複数の精製方法を試せるようになり、自分たちなりの味づくりが少しずつ見えてきました。
5年間でたどり着いた答え
「宮古島でコーヒーは育つのか?」
私たちの答えは、
「育つ。でも、その土地に合わせた育て方を見つけることが何より大切。」
ということです。
世界の有名産地と同じ方法ではうまくいきません。
宮古島には宮古島の気候があり、風があり、土があります。
だからこそ、この島ならではの栽培方法を一つずつ積み重ねていく必要があります。
宮古島のコーヒーは、まだ始まったばかり
2026年、私たちはようやく自社栽培した国産コーヒーを店舗で提供できるようになりました。
それはゴールではなく、新しいスタートです。
これからさらに栽培技術を高め、生産量を増やし、「宮古島のコーヒー」という新しい文化を育てていきたいと考えています。
いつか「宮古島といえばコーヒー」と言われる未来を目指して、今日も一本一本の木と向き合っています。
